この企画展は、日本一の麻といわれる「岩島麻」の産地である群馬県東吾妻町、藍染料である「蒅」の一大産地であった徳島県藍住町、良質の麻布「近江上布」の生産地である滋賀県愛荘町の三町が地域を越えて連携し、これらの地域に残る繊維を作り、染め、布を織るという伝統工芸技術を伝承・公開することを目的に平成21年度、ここ渋谷で始まりました。
こうした伝統工芸技術は、生活の知恵として私たちの祖先が育み、現代に伝えてきたものですが、大量生産・消費社会の中でどんどん失われつつあります。しかし、伝統工芸品は、手作りの素朴な味わい、親しみやすさ、優れた機能性等が、大量生産される画一的な商品に比べて、私たちの生活に豊かさと潤いを与えてくれます。また、伝統工芸品は地域に根ざした地場産業として地域経済の発展に寄与するとともに、地域の文化を担う大きな役割を果たしてきています。
今回、全国各地からまさに地域の文化を担う大きな役割を果たしている伝統工芸技術が集結いたしました。わたしたちの祖先が育み、伝えてきた技と心を体感してください。