『CINEASTE 3.0』は、現在東京・大阪を中心に盛り上がりを見せている若手映画作家たちをフィーチャーし、渋谷ヒカリエ「8/」の特設スクリーンおよび USTREAM、VIMEOなどのオンライン映像メディアを使用して行う多角的でソーシャルな定期上映イベントです。
近年、国内外の映画業界を揺るがしている映画フォーマットのデジタル化は、映画史におけるトーキー、カラーに次ぐ第三の革命と言われ、フィルムの生産終了や相次ぐミニシアターの閉館などと共に連日メディアでも大きく取り上げられています。
この新たな変革の時代にあって、撮影機材の急速な進歩やインターネットメディア/SNSなどの台頭に順応しながら新しいスタイルの制作、発信を模索している若手監督たちに焦点を当て、その活動と作品を通して現代の映画作家(=シネアスト3.0)の姿に迫ります。
『CINEASTE 3.0』第5回のゲストは、12月に最新作『Fly Me to Minami~恋するミナミ』の劇場公開を控えるリム・カーワイ監督と、昨年公開された『適切な距離』でインディペンデント映画シーンを震撼させた大江崇允監督です。
会場での上映作品は、『もう一つのアフター・オール・ディーズ・イヤーズ|放蕩息子の帰還』(リム・カーワイ監督) 『かくれんぼ』(大江崇允監督)の2本となります。
http://www.cineaste30.com/
■リム・カーワイ / lim kah wai
1973年マレーシアのクアラルンプール出身。1998年大阪大学基礎工学部電気工学科卒業。通信会社で6年間エンジニアとして勤めた後、2004年9月 に北京電影学院の監督コースに入り、いくつかの合作映画の現場(『プラスティック・シティ』『墨攻』『夜の上海』)で助監督や製作コーディネーターとして 参加する。2005年、釜山国際映画祭主催のAFA(アジア・フィルム・アカデミー)に選ばれ、侯孝賢の下で演出を学んだ。2009年、北京で撮影した 『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』で長編デビュー。2010年、香港国際映画祭、大阪アジアン映画祭、サンパウロ国際映画祭に公式招待される。2010年、第2作目『マジック&ロス』を香港で撮影し、釜山国際映画祭で初上映され話題を呼ぶ。同年、立て続けに撮った第3作目『新世界の夜明け』ではCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の観客賞&技術賞をダブル受賞。また、アジア映画の新しい潮流を示す最新作『Fly Me to Minami~恋するミナミ』は今冬日本での劇場公開が決定。どこにも定住せずに漂流を続けており、作品ごとに場所やジャンルを変える、多層的な作品を撮る鬼才監督である。
■大江崇允 / oe takamasa
1981年大阪生まれ。20歳の時、近畿大学商経学部より芸術学科演劇芸能専攻へ 転部し、舞台芸術を始める。在学中に教授である大橋也寸氏より演技システムのルコックシステムを学ぶ。大学では俳優として授業に参加し、卒業した。そのた め俳優として様々な舞台経験を積む。それが今日の映画創作に反映されている。
[監督作品]
『美しい術』(09年初監督/92分) ・CINEDRIVE2010監督賞受賞 (10年)
『適切な距離』(11年/95分) ・第7回CO2 (シネアスト・オーガニゼイション・大阪) 大阪市長賞(グランプリ) ・主演男優賞(主演・内村遥)受賞 (11年) ・第2回ハノイ国際映画祭長編コンペディション部門ノミネート (12年) ・第13回チョンジュ国際映画祭World Cinema部門出品 (13年)
『かくれんぼ』(11年/37分) ・第二回大阪アジアン映画祭インディフォーラム部門出品
■渡邉大輔 (MC) / Watanabe Daisuke
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。現在、日本大学芸術学部非常勤講師。専攻は日本映画史・映画学。2005年に評論家デビュー。共著に『日本映画 史叢書15 日本映画の誕生』(森話社)『見えない殺人カード』(講談社文庫)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)『ソーシャル・ドキュメンタリー』『このショット を見よ』(以上、フィルムアート社)など多数。2012年に初の単著『イメージの進行形 ―ソーシャル時代の映画と映像文化』(人文書院)が刊行され、話題を呼んでいる。