⼈知では測り得ない存在を都市で感じたい。
もっと⾔うと、実のところ、
それを感じる場所があって欲しい。
伝承⽂学を研究する伊藤⿓平⽒のヌシ論では、
「ヌシの伝承は、⾃然が⼈間より優位である場合や、
拮抗している場合に⽣じる」とされているので、
今の街並みを⾒渡してみると望みが薄いような気もする。
でも、それでも、それだからこそ、考えたい。
渋⾕に、「ヌシ」は可能か?を。
「闇への畏れと詩的想像⼒とを取り戻すこと、
それは⼈間の本能を守ること」であり、
「ヌシとの付き合い⽅を学ぶこと、それは⾃然との付き合い⽅を
学ぶこと」とする、伊藤⽒とともにこの問いについて
考えてみたいと思います。
omoomocity productionとは
街でなにかをやる。それって結構大変。はたからみると、どうしてわざわざそんなこと。当の本人からすると、至極当然あたりまえ。そんな人たち同士の間に吹いてくるかろやかで心地よい風は、きっと新しい気分を運んでくるはず。「面面(面白いことはほとんど面倒くさいなあ♡の略)」では、活動の舞台の1つに街の路上を選んでいる若手のパフォーマーやクリエイターの様子をドキュメントしつつ、面白いことを自分たちでつくっていこうとしている人たちの喜びや苦労を分かち合っていきます。
伊藤龍平
1972年、北海道生まれ。2003年、國學院大學大学院修了、博士(文学)。同年、台湾・南台科技大学に赴任。2021年、國學院大學に着任。
専門は伝承文学。口承文芸(昔話、伝説、神話、噂話など)を中心に、広く研究活動をしている。動物に関する興味は『ツチノコの民俗学』(2008年)、『江戸幻獣博物誌』(2010年)の頃から抱いていて、近著『ヌシ』(2021年)では、全国のヌシ伝承を通して、人と自然との関係を考えた。その他の著作に、『ネットロア』、『何かが後をついてくる』、『怪談の仕掛け』など。