雑誌『新建築住宅特集』では、建築家が描いた図面を見直す連載「家をつくる図面」がスタートしました。実際に使われた建築図面には建築のつくり方がよく表れていて、技術や思想など、さまざまなことを伝えてくれます。この連載では、言葉や建築物そのものだけではなく、そういった生産の過程である図面の表現から、建築家の作風を読み解いていければと考えています。
連載では、図面の読み取り方や意味についてのエピソードを紹介していますが、それらの図面を実際にご覧いただく機会を提供するのが本展です。連載第1回に応じて、本展では故石井修氏の自邸「回帰草庵(目神山の家1)」などの図面を展示します。雑誌に掲載した図面以外にも、そのほかの図面やデジタルデータ、インタビュー映像などをご覧いただけます。氏が求め続けた、地形や植物などの《自然と共存》する作風は、図面にはどのように表れているでしょうか。図面の表現とともに、建築をつくる心を感じてください。
石井修
1922年 奈良県生まれ
1940年 吉野工業学校建築科卒業後、大林組東京支社に勤務。早稲田高等工学校建築学科に学ぶ。海軍建築部、陸軍航空隊に応召。戦後、大林組に復職。大林組退職後、工務店自営。
1956年 美建・設計事務所設立
1986年 「目神山の一連の住宅」で日本建築学会作品賞受賞
1987年 「目神山の家8」で吉田五十八賞受賞
1997年 「日本ビソー入道浦研究所」で甍賞受賞
2002年 「目神山の家1(回帰草庵)」でJIA25年賞大賞受賞
2007年 逝去
2012年 「ジツタ岡山ビル」でJIA25年賞受賞