16世紀の大航海時代、長崎は世界との交流の窓口として栄え、宣教師たちによってキリスト教が伝わりました。信仰は人々の中に広く深く浸透し、領主の中にはキリシタン大名になる者もありましたが、その後、時代は禁教・弾圧へと大きく変わっていきます。 厳しい取り締まりの中、信徒たちは密かに組織をつくり、信仰とともに生きる暮らしを親から子へと継承するなかで、殉教地や聖なる場所が崇敬されるなど地域には独自の文化が育まれました。
そして19世紀の開国に伴い、250年の潜伏を経て、信仰は復活しました。五島列島、天草、長崎各地の集落には風土に根ざした教会堂が次々とつくられ、現在もなお、地域の人々により守られています。
長崎各地の美しい自然と人々の営みが織りなす、海を介した交流と独自の文化の姿は、地域にとってかけがえのない遺産です。写真家、日暮雄一氏がその独特の空気をとらえ紹介します。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と名付けられた、この独自の歴史と文化をもつ遺産群は、長崎県と関係市町(長崎市・佐世保市・平戸市・五島市・南島原市・小値賀町・新上五島町)及び熊本県と天草市により、世界文化遺産の登録に向けた取組が進められています。