自然界のアルゴリズムから創る、新たなグラフィック表現への挑戦
水の波紋や地面のひび割れ、木々の年輪や山脈の形状。自然が生み出す美しい形状や現象は、一見複雑で再現性のないように見えますが、その仕組みをよく観察すると何かしらの規則性があり、実はシンプルなルールの組み合わせであることが多くあります。そして、それらは数理的に読み解くことでプログラミングによって人工的に再現することができます。
本展示では、自然界のあらゆる形を意図的に再現し、グラフィックに落とし込む新しい表現領域に挑戦。堀川が開発した「自然アルゴリズムによる3次元プログラム」で創り出した自然現象を、 深地の「Plotter Drawing(プロッタードローイング)」で物質的な強さと重さのあるフィジカルの世界へ変換し、デジタルとリアルの間の偶発的な美しさを集積した作品群を発表します。
自然物の再現には、アルゴリズミック・デザインの手法を用いており、自然物の有機的な形状をアルゴリズムと呼ばれる数理的な手順を利用することで、あらゆる形や現象を創り出しています。また、数値を可変させたり、新たなルールを追加することで、そのアウトプットはアルゴリズムの制御下でありながら、有機性を持ち、ときに生物の成長のような思わぬ形を私たちに見せてくれます。本作品群は、独自のプログラムを用いて、グラフィックとタイポグラフィをデザインし描くことで、アルゴリズムとグラフィックを融合させた新しい表現手法となっています。
自然界の「ロジック」と「カオス」、「デジタル」と「フィジカル」、そして「機械」と「人間」。異なる専門領域を横断した二人の表現は、これらは必ずしも正反対の存在ではなく、共生的で交差し合うものだと言うことを示唆しています。
膨大な種類の自然アルゴリズムの研究と、ドローイングの実験の積み重ねを融合したコラボレーションをぜひご覧ください。