ビエンナーレやアートフェアなど国内外で個々に活躍している30代〜50代の注目の作家15名の展覧会です。様々な手法での作品を是非ご観覧ください
Contact展は、個々に活躍する30代〜50代の精力的に活動を行っている注目の作家さんを紹介する展覧会です。
4回目となる今回は、ビエンナーレやトリエンナーレ、アートフェアなど国内外で個々に活躍している作家15名が集結しました。
絵画から写真、石彫、立体作品と、それぞれテーマをそれぞれの手法で表現しています。
若手から中堅、ベテランの領域へと踏み込んだ個々の哲学を是非ご観覧ください。
シンプルな作品から複雑な作品まで、それぞれに奥の深い何かがあります。
また、Contact展は出品作家さんにも会える展覧会でもあります。
日々誰かしら出品作家が迎えてくれますので、是非ご観覧いただき、その日いる作家さんに色々とお尋ねいただき、ごゆっくりご鑑賞ください。
浅野 彌弦
Statement
「在る」ということがどういうことかを問うための「場」をテーマに彫刻、絵画、写真を制作。
現実空間において目に見えない無数の「穴」が開いていて、「生」の世界と「死」の世界が入れ子状態になっているという。
これを「フラクタル」(幾何学のフラクタルとは別に)というそうだ。
過去旅で行った古墳や洞窟等の写真をもとに再構成したものを頼りにキャンバスに物理的な「穴」のかわりに「染み」の集合体をもって空間を作っていく絵画を制作。
トリミングして完成させるが、捨てるはずのキャンバス片に違う時間性を感じ、キャンバス片をコラージュした絵画も同時に制作しています。
伊藤 ちさと
Statement
絵の中の花たちは私の代わりに遊んだり、歌ったり、踊ったり、おしゃべりしてくれます。
日常で得た体感や情感・印象を、自由な気持ちで描いています。
椛田 ちひろ
Statement
絵画というメディアは常に表面だけを観客に向けている。
その下にある線も、筆跡も、表面に隠されてしまえば観客に伝わることのないのが絵画というメディアの構造だ。
だから過剰である線や層は制作者の想いに反して、その数十分の一も伝わることはないのかもしれない。
人は視覚にその認識の多くを頼っている生き物だという話を聞いたことがあるが、視覚には死角があり、眼差しの届かないところを私たちは認識することができないのならば、表面だけで理解する絵画の構造とそれほどの違いはないのかもしれないとも思う。
絵画というメディアは常に表面だけを観客に向けているけれども、表層に隠されて見えない下層が認識できないと断じてしまいたくはない。
「描く」という行為を通して、見えないもの・見ることのできないものの視覚化を試みたい。
椛田 有里
Statement
自己相似的に反復し、反復は差異を創出する。
積み重ねられた差異は複雑性を獲得する。
そうした独自の文法によって構築される仮想的な世界をモデル化し、現前させることを制作としている。
栗原 優子
Statement
彫刻はどんなに小さなものでも一方向から全てのかたちを捉えることはできません。
身体を使ってその彫刻に向き合うとき、その空間には虚としてのかたちがみえてくることに気が付きます。
触れることのできないかたちというものについて、未だ明確に論じられ決定されていない「彫刻」というものについて、わたしは石に向き合いながら思考しています。
佐々木 俊明
Statement
写真というアプローチで作品制作を続けています。
ゼロから創造するというよりも既存のものに対して演出を施す色合いの強い写真という表現方法には、どこか自分との相性のよさがあるように感じます。
制作を続ける中で被写体そのものを表現することから、その被写体を足掛かりとして事物の存在や概念について考えることへ興味の重心が移ってきました。
美しさを画面に湛えつつ、観る人の感覚に小さな波紋を投げかけられるような作品を届けられたらと思っています。
関 仁慈
Statement
“シンプルなものの中にこそ、本質的な奥深さがある” というテーマのもと制作発表を行ってます。
人に限らず、様々な事物の存在は、そのものを意識して初めて感じられるものだと捉えています。
インドの数学者が初めて数としての0(ゼロ)という概念を定義しました。
それは0=無ではありますが、有限の無(認知されていることから存在する)となります。
有限の無と無限の無。
その狭間は、うっすらとそこにあるのかもしれません。
そのような形になる前の無垢な状態、まだ色や先入観の入る余地のない状態のものを表現しようと試みています。
相馬 博
Statement
東京に生まれた私にとって、身近な自然風景は空やその向こうに広がる宇宙でした。
それらをモチーフに漆、螺鈿、曜変天目など東洋美術の中にある小宇宙の美を絵画の中で再現しながら、目に映るものがはたして真実か、当然のように思っている視覚と知覚、そして美の本質を問いかける作品を制作しています。
田中 宏美
Statement
私は作品にviewとタイトルをつけます。
それは、絵画とはそれを見る人を受け止めて、日常とは違う空間に連れて行ってくれる風景であってほしいと考えているからです。
どこかとかではなく、いつかどこかでみたような風景。
あたたかく包み込んでくれるような風景。
風景は表層を視覚でとらえますが、目には直接見えない部分も含めた厚みのあるものとして私たちのイメージを刺激します。
私は作品を、綿布にアクリル絵の具を塗り重ね、それを削っていき下の層を出していく方法で制作しています。
作品の表層に現れた風景と、喚起されたイメージを感じて、私の絵を見る前より少しでも、爽やかで晴れた気持ちになってもらえたら幸いです。
フクダ ユウヂ
Statement
閉塞し停滞する日本社会をヘッドフォンをつけた子供で表現している。
ペインティングナイフを使い強く激しい調子で描かれた笑顔の作品は、みんながひとりひとり自分の世界に入り込み同じ価値観のつながりだけを信じて生きていこうとしていることへの危惧と警告である。
藤下 覚
Statement
「光と影」「表面と内面」「実体と虚像」・・・
自然界は必ず相反する2つの事象が対を成して存在しています。(二項対立)
2つの対立項は常に揺らぎの中に存在し、不確定性原理によると物事には確定した事実は一つもなく必ずあいまいさが残ります。
このあいまいさが自然の真理であり、見えているものが実なのか虚なのという対立をも提起させます。
作品では、表面的なものと本質的(内面)なものとの対立性をテーマに、絵画における画面の在り方を模索しています。
藤原 京子
Statement
硬質な素材の中にある儚さときらめきを表現したいと希います
布施 新吾
Statement
【近年の作品テーマ】
平面作品/COLD SMOG SKY シリーズ
都市のスモッグのかかった感じの空をイメージ
ドラマチックでないリアルな身近な現代の空気感を表現
タイトルのCOLDは、温度が冷たいという意味でなく都市の覚めた感覚を表しています
柳 早苗
Statement
木を紐で縫うことで、時の繋がりや世代を超えて受け継がれることを表現している。
パリで木に出会い素材の面白さに魅了され、木での作品制作を始める。桜、柿、銀杏、樟、ケヤキ、松、檜など自身の周辺で手に入った木を再生させるように縫い続けている。
現在は「Au fil du temps /ときを縫う」シリーズに取り組んでいる。木を縫い続けることによって、時空を超え、全ての存在が繋がることを目指している。
山口 健児
Statement
なんてことない日々の中で微かにともっては消え去るカケラとしか呼べないもの。
探し求めてきたものはそんなカケラを通して見える向こうの世界にさす光かもしれない。
片鱗をみつけて消えないように画面に描きとめよう。
やがてどこかで芽吹き育つようにそんな思いをこめてタネを撒くように。