書の魅力の本質は線と空間にあります。文字のかたちに依るか、依らない抽象でもその本質は同じです。線の美は東洋芸術のDNAであり、書画という身体の血管でもあります。
書の本質とは何か、書が書であるためには文字のあるなしに関わらず、線が生命線であることは不変不朽です。線が空間性を醸成します。さまざまな線の世界を多角的にとらえ。線の表現に特化した現代作品を制作するに至りました。
コンテンポラリーとは現代性を標榜することですが、普遍的な美の本質や原理は過去から現在までを貫くものだと思います。流行としての表現様式やスタイル、方法論を超えた不易の本質や原理の探求こそが書の新しい地平を切り開くと考えています。それは、書がアートに近づくことではなく、アートが書に近づくことでもあります。
本展は、言わばオーケストラの楽曲を。全員のそれぞれが、それぞれの線を奏でる楽器を演奏したものだと解釈していただければ幸いです。古代からの経糸と、現代の緯糸で織り成す現代の書の広角の作品群をLINE =[書] として発表いたします。目で見るひとつの交響曲としてご高覧くだされば幸甚です。