福島県葛尾村にて Katsurao AIR に参加したアーティストたちの活動を「共生」をテーマに紹介します。
Katsurao AIRは、福島県双葉郡葛尾村(かつらおむら)にアーティストたちを短期移住者として迎え入れているアーティストインレジデンス(AIR)プログラムです。
アーティストたちは、被災から13年が経過した葛尾村で暮らしながら、固有の風土や歴史、そこにある生活のリアリティに向き合い、それぞれの視点で接近してきました。村を取り巻く環境やそこに暮らす人々との共生を試みるそのプロセスは、アート作品の制作のみならず、葛尾村の日々の風景に彩りを添えています。
本展では、葛尾村で活動したアーティストたちの作品をご紹介いたします。
ひかりをむすんで —COSMIC HABITAT—
私たちが生きる場所である宇宙(cosmos)は、生命の根源的な起点でもあります。光は恒星から惑星へと降り注ぎ、私たちが生息している地球上では、生命を育むエネルギー源として機能しています。また、科学技術が発達するにつれ、人間もさまざまな方法で光をつくりだしてきました。植物が日光や人工灯から光合成を行うことで栄養源をつくり、動物がその植物を摂取しながら命をつないでいるように、人間もまた、有象無象の光を受け取り、他者と影響しあいながら生命を継続しています。
本展では、宇宙に行き交う光「ひかり」をひとつのテーマとして、いわばそれらの光を結ぶように、他者や自然との共生のあり方を問いかけます。共生とは、異なる存在同士が新たな関係性を絶えず構築しつづける営みにほかなりません。「COSMIC HABITAT」という副題が示すのは、私たちの生態系が宇宙全体に広がる壮大なつながりに支えられていることへの認識です。
本展でご紹介するのは、地域での具体的かつ実践的な取り組みや、生きることそのものへの根源的なアプローチなど、葛尾村で暮らしたアーティストたちの多様な活動です。村での日常から宇宙的な視点まで、さまざまな関係性を網目のように浮かび上がらせることで、人と自然、そしてその先の世界との新しいつながり方を提案します。
榎本浩子《あかるいけしき》
大槻唯我《Untitled》
喜多村徹雄《ピクニックするためのあれこれ/プランドローイング》
鮫島弓起雄《伝統を保存するためのアクリルスタンド 「野行の宝財踊り」》
三本木歓《12番目の集会所》ドローイング
杉浦藍《時間と営み/置物を木彫する》
村上郁《かつらおのサンカク》
増田拓史《13年目、たべるをつくる。》