d47 design travel storeで6月2日と3日に開催されたワークショップ。
お店がオープンして初となる今回のワークショップでは、講師に栃木県・益子の陶芸家、鈴木稔さんをお迎えして、益子焼での箸置きとフリーカップを制作しました。
私たちが鈴木稔さんとその作品に出会ったのは、『d design travel』栃木号での益子焼のページでうつわをご紹介する際、取材させていただいたのがきっかけでした。
スタッフの中には個人的に作品を収集していたりもしますが、しっかりとお話を伺ったのはその時の取材が最初でした。
以来、D&DEPARTMENT各店でのワークショップの開催を企画したり、d47食堂で使われているうつわを制作していただいたり、当ストアでもいくつかの作品を取り扱わせていただいています。
益子の土と釉薬を使い、石膏の型に土を詰めることで形づくられる鈴木さんの焼き物たち。
そもそも鈴木さんが初めて益子焼を目にした時の印象は、「民藝」調のイメージが強く、重くぼってりとした、どこか泥臭いものだったそう。
しかし同時に、土の味わいや一つ一つの釉薬に魅力を感じ、「現代の生活空間に合った益子焼をつくりたい」という思いから、色々な試行錯誤の末に現在の「型」での技法に辿り着きました。
「型」でつくることで得られる形の自由さ、ろくろにはない独特の丸みや、モダンなデザインの表現。
「素材」として伝統的な益子焼を継承しながら、鈴木さんは現代のライフスタイルや毎日の食卓に調和した作品を日々発表されています。
まずは、箸置き制作からスタート。
今回は花や鳥、魚をモチーフにした5つの型からそれぞれお気に入りの形を選んで、数種類の箸置きをつくります。
型は片側だけに詰めるタイプと、両側に詰め、詰めた面に緩い陶土を接着剤代わりにつけて合わせる2つのタイプが。
陶土を角までぎゅっ!と押し込む。少し詰めたらまた押し込む。そうして少しずつ土を足していきます。
詰め終わったらペインティング・ナイフを使って全体をならし、平らにします。
ある程度時間をおいて、型から土を外します。しばらくすると石膏が粘土の水分を吸収して収縮し、型から取れやすくなるそうです。
最後は裏にイニシャルをつけてできあがり!
両側に詰めるタイプの型には、"どべ"と呼ばれる水で緩めた土をつけて2つの型を合わせます。
ある回では和気あいあいあと楽しくおしゃべりしながら。
別の回ではとにかく黙々と、真剣に作品づくりに没頭されていました!
続いて、フリーカップの制作を。
今回は3つの面から構成される、あえて難しい型でのカップ制作に挑戦します!
同じ厚さにスライスした土を3つの型に張りつけ、待ち針を使って余った部分を水平に切り落とします。
次は底部分をつくり、それぞれのパーツができたら"どべ"を塗って組み立て作業。
カップでとても重要になる飲み口部分も、丸みを出して口当たり良く。
最後はゴムのヘラを使ってカップの中部分をきれいに、滑らかに仕上げていきます。
見るのはカンタン。やってみるとムズカシイ!
でも、難しいほどに面白く、大変なほどに感じられる作業終了後の達成感!
ワークショップ終了後、作品は鈴木さんにお持ち帰りいただき、釉薬をかけて焼成してからお手元にお返しすることになっています。
届いた作品は、ぜひそれぞれの日々の食卓で使っていただき、うつわ本来の「使いながら楽しむ」という醍醐味を味わっていただきたいと思います。
そして、日々使いながら、実際に益子の土に触れてつくったこのワークショップのことを思い出してもらえたり、実際に益子の土地を訪れて、"いつもの観光"から少し特別な"デザイン観光"を楽しんでもらえたら嬉しいです。
ちなみに、益子では今この梅雨の時期だからこそ楽しめるイベントが。
6月24日(日)から7月25日(水)まで、約7000本(!)のあじさいが咲き誇るあじさい公園で「あじさい祭り」が行われるそうです。自然豊かな益子の町であじさいに癒されながら、その時ならではの景色をお楽しみください。
その他にもこれからの季節、その時々での旬の益子を堪能できる素敵なイベントが控えています。
まず、9月16日(日)の新月から9月30日(日)の満月までの15日間には、いよいよ第2回目となる土祭(「EARTH ART FESTA 2012 土祭」)の開催が決定しています。また、11月には毎年春と秋に開催されている益子陶器市も!
■あじさい祭り(益子町観光協会)
http://blog.mashiko-kankou.org/event_d.shtml?2345
■EARTH ART FESTA 2012 土祭
http://blog.mashiko-kankou.org/ceramics_bazaar/index.shtml
■益子秋の陶器市
http://blog.mashiko-kankou.org/ceramics_bazaar/index.shtml
「土地に足を運び、その土地の方のお話を聞き、その土地を肌で感じる」。
私たちが発信するワークショップやイベントがみなさんにとって、そのきっかけになればと思います。
(その際は『d design travel』をお忘れなく!)
大人気作家の鈴木稔さんに直接手ほどきを受けられた今回のワークショップ。
各回5名程度の少人数制のワークショップということもあり、応募受付開始と同時にあっと言う間に定員に達してしまいました。
いつかまた鈴木さんにお越しいただき、みなさんと一緒にワークショップができることをスタッフ一同楽しみにしています。
参加者のみなさんへは作品が完成してお手元に届くまで、どうぞお楽しみに!
そして残念ながら今回参加できなかったみなさんは、次回のワークショップ開催にご期待ください!
なお、本ワークショップの参加費の一部は益子参考館震災再建基金へ募金させていただきました。
ご協力いただきありがとうございました。
(スタッフ:仁科)