「物を作りながら物だけを見るのではなく、物の後ろに人間がいること、人々の生活があることを忘れてはいけない。」2005年に亡くなった陶磁器デザイナー 森正洋氏の言葉です。森正洋氏は1950年代より、およそ半世紀にわたって、日本の暮らしを見つめ、食卓に並ぶ器のデザインを考え続けました。
当店でも根強い人気があり、「昔から、お家にあるわよ」などといった声もよくお聞きする “G型しょうゆさし”。安定感、持ちやすさ、そして垂れにくい注ぎ口の作りの良さが特徴で、1961年にグッドデザイン賞を受賞、また1977年には、ロングライフデザイン賞を受賞しています。
他にも、先日当店で開催した NIPPON VISION GALLERY でご紹介した
平形めし茶碗など、
彼が生み出すデザインは、多くが今も生産され続け、ロングライフ製品として愛されています。(NIPPON VISION GALLERYの様子はこちら)
今回、ご紹介する本は、森正洋を語り伝える会著、ナガオカケンメイ企画による、森正洋氏の語った言葉に焦点を当てた書籍です。森正洋氏が語った言葉に加え、共に仕事をし、あるいは共に多くの時間を過ごした人たちへのインタビューも掲載されています。
森正洋氏が語る、真摯で熱い85の言葉は、1ページに数行が並ぶ構成で綴られています。デザインとは何か、そこに向き合う彼の信念が伝わってくると同時に、心に響く言葉があります。デザインを学ぶ方、デザインをお仕事にする方、またそうでない方にとっても、物事の本質を見抜くこと、自らの仕事に対する考え方を見つめ直す機会を与えてくれます。
「実用性だけではダメだし、流行を追ってもいけない。
デザインは生活文化をつくり出していけるものでなければ。
それには人間の生活をよく見ること。
人間が好きじゃないと、モノは作れないよ。」
「デザイナーの一番弱い習性は、変わっている形に弱いということです。
使える使えないではなく、おもしろいものを選んでしまうところです。」
「『理解してもらえない』
と言っていいのは幼稚園まで。
ましてや大学を卒業して社会に出たら、
『もらえない』ということはなくて、
自分がどこでどうやってカバーするかだと思います。」
他にも、心を射す言葉や、エピソードがたくさんありますが、みなさまに読んで頂きたいので、
引用はこれくらいにします。是非、店頭で実際にお手にとり、ご覧ください。(ネットショップはこちら)みなさまのご来店、お待ちしております。
(スタッフ:栗山)