京都からデザイナーの坂田佐武郎さんと、やくの農業振興団の大地さんを講師にお招きし、「地域とデザイン」というテーマでお話いただきました。
普段東京でくらしているスタッフ一同にとっても、その他の地域で実際に起きていることを知るいい機会です。
まずは坂田さんのお仕事のご紹介。坂田さんは、d47 MUSEUM「NIPPONの47人 2015 GRAPHIC DESIGN」の企画に出展いただきました。ミュージアムへ移動して京都の展示台へ。実際に作品を前にして説明を受けます。
こちらは、やくの農業振興団さんが販売している「丹波ノ霧」のパッケージデザイン。
ストアにもどってdSCHOOL開始です。やくの振興団は京都の北部、夜久野(やくの)町で農家の応援団として活動されています。町の3人に1人が60歳以上、お米の価格も下がり休耕田が増える状況の中、蕎麦づくりをもう一度復活させて農家の資源にしようとプロジェクトを立ち上げました。京都学園の協力を得てお蕎麦のリサーチや京都のイメージについて話し合いをすすめていくなかで坂田さんも加わり、デザイン案ができあがってきました。
坂田さんからはどうやってデザインを進めていくかのお話しを伺います。キーワードは「高く売る。」やくの蕎麦の復活のため、どうしても販売価格を下げることはできず、そこがイメージのメインにもなったようです。
できあがったデザイン案をみて大地さんは、「このパッケージに見合う品質の蕎麦を作り続けよう」と考えたそうです。
「自分たちの商品の何が良いかを徹底的にデザイナーさんたちと話しをする。そうすれば糸口が無いと思っていたことでも何とかなるもんだと。スーパーで売ってる3倍以上の価格の蕎麦が売れるとは誰も思いませんから。」「これで何とかしてみよう、ときっかけをデザインによっていただいた気がしています。」と語ってくれました。
パッケージが良くなったことで、商品の質もあがっていく過程に、参加者のみなさん聞き入っています。お互いの真剣な気持ちが、商品をより良いものにしていくのですね。
おそばを食べながら質疑応答。「デザインとお金について」「どうやってアイデアを」「クライアントからのむちゃな要望にどう答えていくか」「新しいことに拒否反応をしめすお年寄りをどう説得していくのか」など。参加者にデザイナーの方が多かったため、今困っていることを具体的に相談するコーナーのようになり、この会最高の盛り上がりをみせていました。これも少人数のd SCHOOLならでは。
デザインの依頼から完成までのプロセスを伺い知ることができ、クライアントとデザイナーのコミュニケーションでデザインはできるものだと実感できた会でした。
d47 design travel store 中村千晶