先日、静岡の掛川市で茶箱を製造している「鈴木製函所」を訪れました。
茶箱は杉の木を使い、内側に防湿加工をほどこしているため、防湿・防虫・防臭に優れています。
昔からお茶の保管や輸送に使われていましたが、戦後、輸送方法が茶箱から段ボールや他の素材に
代わるなどの影響を受け、掛川で40軒近くあった茶箱製造業者も、いまでは4軒だけになりました。
鈴木製函所は、鈴木さんご夫婦を入れて4名。
平均年齢80代のみなさんが、出迎えてくれました。
茶箱の作りは明快。
茶箱を作り始めた大正10年から、作り方は今でも変わりません。
手をかけていたところに機械が導入され、手間が省けるようになりました。
代表の鈴木清吉さんは、父親や職人の作業を、見よう見まねで学び、技術を習得したそうです。
現在は、4人で作業を分担してひとつの茶箱を作ります。
まず、杉の木を裁断するのは、清吉さんの仕事。
茶箱にはふつう杉の木が使われていますが、赤杉や白杉などの種類があることを教えてくれました。
白杉は棺桶に使われる素材のため、忌み嫌われるので使わないとのこと。
鈴木製函所では大井川の赤杉を選んで使っています。
昔は、職人が板を1枚1枚かんなで削っていました。
今ではこの大きな機械で、茶箱のサイズに合わせて材料を裁断します。
材料を一定の厚さにするために、機械を通します。木くずを吸い上げる大きな機械も作動します。
板がそろったら、タッカーで針を打ち、茶箱の幅になるよう板と板をつなぎ合わせます。
釘を打ち、パーツとパーツを組み合わせます。
茶箱を作るときのポイントは、木の裏表を絶対間違えないこと。間違えると釘が出てしまうそうです。
」
次に、奥さんが、亜鉛板(鉄板に亜鉛メッキを施したもの)を、茶箱の内側に張り合わせていきます。
続いて、熟練の職人が、亜鉛板の境目を、はんだ付けしていきます。
塩酸で汚れを落とした後、熱した銅製のコテで貼り付けていきます。
同じ箇所を茶箱の数だけ慣れた手つきではんだ付けします。
清吉さんの奥さんは、「この仕事ができるのは、長年働いているシズヨさんしかできないのよ」と言うので
見続けると、どの茶箱もどこも汚さず、狂わず、境目にぴったりとはんだ付けしていました。
亜鉛板を取り付けたら、次に内側や、フタ、周りの節(ふし)、木目の粗い部分に
和紙を貼っていきます。和紙だとトロトロ溶けてしまうので、レーヨンを入れて、溶けにくくします。
しっかり乾燥させたら出来上がり。
1ヶ月に200〜250個くらい作るそうです。
使い勝手のよい茶箱は、乾物や米などの食材の保管や、衣服の保管、最近では収納できるイスや机として
活用されています。小さい茶箱に布を張り小箱として使用したいからと、個人注文も多く、ニーズに合わせて
さまざまな大きさ、形の茶箱も製造しているそうです。
“需要があるから、作り続ける” 同じことの繰り返しですが、日々淡々と、仕事を生き甲斐としながら、
今日も茶箱作りに励んでいます。
鈴木製函所のみなさん、ありがとうございました。
こちらは、d47の社員研修のなかで訪問させていただきました。
他にも、ワインやクラフトビール、自然農園などに分かれ、生産者見学をさせていただいています。
研修や見学の様子はこちらからご覧下さい。
d47 design travel store 澤田