8/

05/design travel store

「小川顕三陶房」の土、形、焼

瀬戸、丹波、越前、備前、常滑と共に日本六古窯と呼ばれ、焼き物の産地として長い歴史を持つ信楽。始まりとされる13世紀中頃は、釉薬を使わない無釉焼締の壺や甕、すり鉢など生活で使う道具をつくっていました。戦国時代には茶の湯で使う焼き物をつくり始め、18世紀中頃になると、釉薬を使用した器が、多くつくられ、無釉焼締の器は、少なくなっていきます。その後は、工場で使う部品や、建物に使うタイルや洗面器などの建材をつくり始め、今では生産額の半分が建材です。信楽焼は、その時代に必要なものを作りながら、発展していき、今でも産地として残っています。
 

20160422_5.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小川顕三陶房は、この歴史ある滋賀県甲賀市信楽町にあります。1993年、小川顕三さんが55歳の時に息子の記一さんと設立した小川顕三陶房。父である菱三陶園三代目小川青峰さんの下で、信楽の伝統や技術を学びながら、懐石の食器を中心につくっていた顕三さん。独立後も使いやすく、料理を活かす器を記一さんと共につくっています。

20160422_6.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古琵琶湖層から採れた信楽の土を中心に使う小川顕三陶房。つくりたいものに合わせ、成分の異なる土をブレンドし、粘土を作ります。写真左の信楽の白土は目が粗く、ザラザラとした自然な質感を生み出しています。写真右の赤味のある粘土は、白土に鉄分の多い土を混ぜています。鉄分が反応し、焼きあがると赤味が出ます。

 

20160422_1.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20160422_2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先代がつくってきた器の形を継承している小川顕三陶房。料理を引き立てようと試行錯誤し形づくられてきた器は、奇をてらっていない素朴さがあります。


 

20160422_7.jpg

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自然な質感を感じてもらえるように意識して器をつくっている」と語る記一さんは、深みのある釉薬の色あいや質感を引き出す焼成を行っています。写真の器は小川顕三陶房設立時から作られている御本手(ごほんで)の器。信楽の粗い土が釉薬に小さな穴を開け、その周辺が白い斑点になります。土の特性を活かした器で一点一点印象が異なります。


粗くザラザラしている信楽の白土。その土の素朴さを活かすような形、焼が小川顕三陶房の
器から感じられます。信楽の土、そして信楽でつくり続けてきた先代からつづく伝統や技術を活かしつつ、時代に合わせた器をつくっています。

 

20160422_3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



懐石の食器を多くつくってきた小川顕三陶房ですが、「日常の中で使う器をもっと増やしていきたい」と語る記一さん。お二人がつくる日常使いの器が、どのようなもになるのか今後がとても楽しみです。

 


d47 design travel storeのNIPPON VISION MARKETで行われている「滋賀 小川顕三陶房のしごと」会期は、4月25日(月)までとなります。小川顕三陶房の信楽らしい器を是非、手にとってみてください。

 



d47 design travel store 田部井

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COMMENTS