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04/d47 MUSEUM

d勉強の会「わかりやすい漆の器」が行われました。

129日、渋谷ヒカリエ8F COURTにて、d勉強の会「わかりやすい漆の器」が開催されました。漆の産地、岩手県二戸市浄法寺にある滴生舎より、小田島勇氏を講師に迎き行われました。 

 

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漆は使ってこそ良さが分かる。ということで、 まず席に着く前に、漆のカップでどぶろくを振る舞います。 この片口は、講師の小田島さんの私物。他にも、片口の裏には「市長」と書かれているものなど、 実際に現地の方々が時間をかけて使われて来た漆器を、目の前で実感。

 

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少しお酒も入り、楽しげな雰囲気のなか、そもそも漆って何?どうやって採れるの?という素朴な疑問から勉強会がスタート。 漆は天然の樹脂塗料で、塗料としてはもちろん、接着などにも使われる素材。

 

うるしの木が傷つけられることにより、それを保護しようと出す樹液です。実際どの様に採っているんだろう?という疑問が湧いたところで、 漆掻き職人の鈴木健司氏が、実際に漆を採るときの格好で登場。

 

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そして、まさか渋谷で見る事が出来るとは思っていなかった、漆掻きの実演です。

 

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一本の漆の木から1シーズンで採れる漆の量は約200cc、牛乳瓶の一本分程度の量です。一気にぽたぽたと採れる訳ではありません。 6月から徐々に傷をつけ始め、その後10月まで、何回にも分けて採取し、 採取し終えた木は伐採して、新しい芽を生やさせます。次に漆が採れるような木まで成長するには約15年程度、雨が降れば漆を掻くこともできませんし、 常に自然との関わりの中で生まれているということを実感します。

 

では、私たちが良く見かける漆器は、全部こんな漆を使用しているの?と思ったところで、漆の違いをクイズ形式で出題。 私たちが街中でよく見かける漆器が3種類、テーブルに回ってきます。

 

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この3種類の漆器の塗装は、本漆、合成漆、ウレタンと分かれていて、 しかも器の元になる木地も、木、木紛加工、合成樹脂と様々。 同じ漆器でもこんなに種類があるとは知りませんでした。

 

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ちなみに滴生舎の漆器は、漆の下塗りも上塗りも浄法寺の漆、木地の木の種類までしっかり記載。 現在使われている漆で、国産漆は全体の約3%という現状です。

 

そんな国内漆の約60%を支える浄法寺の漆を使用して作られる漆器は、 やはり他の種類と比べても全く違う質感が、肌に伝わってきます。

 

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それぞれを分割してみると、さらに違いが明白に。

中央の器が滴生舎の器。 木でつくられる漆器は、高台に向かって厚みを帯びるのが特徴です。そんな滴生舎の漆器がどうやって作られているかを、VTRで見ながら、 実際に映像の中では制作している小田島さんが、それぞれの過程を解説をします。

 

そろそろ実際に使ってみたいなぁ、と思ったところで、 岩手県の「食の匠」による、岩手県の郷土料理が登場です。

 

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きび粉のおだんごで、おへそのようなカタチの「へっちょこだんご」と、

 

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練った小麦粉をのばしてちぎる様子から名前がついた「ひっつみ汁」。 この日のために、岩手県から来て頂いた「食の匠」のお母さんお2人が朝から準備してくれました。 食堂スタッフも加わり、お母さん達の技をしっかり教わります。

 

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「ひっつみ」を作ってくれたお母さんは、自家製のお醤油で味付けをしてくれました。 普段は「そばえ庵」というお蕎麦屋さんをしていて、現地ではそば打ちの体験もできます。「へっちょこ」を作ってくれたお母さんは、本当に手間のかかる有機栽培で、雑穀を作っています。 もちろん今回の、きびも、大豆もお母さんが栽培しているもの。そんなお母さん達のお話は、本当に二戸に行きたくなります。

 

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そんな美味しいお料理と、丁寧につくられたお椀を感じながら、勉強会は終了し、 最後は、参加者のみなさんが直接小田島さんへ質問したりと、 漆への理解を色々なかたちで深めて頂きました。

 

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終了後はスタッフと岩手のみなさんを囲んでのお食事会。 本当に普段では聞けないようなお話や、お母さんとの会話が、 ただの知識だけではない、漆への愛着を生んでくれます。

 

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翌日には朝からスタッフ向けの勉強会を開いて頂きました。 普段お客様に聞かれる事や、自分が日頃から気になっていた事を質問。 スタッフもお店に来て頂いたお客様とのお話の中で、 いかに自分の言葉で、漆の良さを伝えられるか勉強させて頂きました。

 

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勉強会は終了しましたが、 d47MUSEUMで現在開催中の「47GOOD DESIGN -47都道府県のグッドデザイン賞」では 岩手県の枠で、滴生舎のお椀や、浄法寺の漆チューブ等が展示されています。 

 

展示の詳細はこちら

 

また、d47 design travel storeでは201317日まで浄法寺漆の器コーナーが展開されています。

 

詳細はこちら

 

d47食堂では、定食のお味噌汁椀として滴正舎の器を使用しています。ちなみに、食堂のお椀の使い方がとても良いとお褒めの言葉を頂いています。 少しずつツヤの出て来たお椀で、是非美味しいお味噌汁をどうぞ。

 

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敷居が高いと感じる漆器ですが、生い立ちや、使い方を知れば実際に使ってみたくなります。 気になる事がある方は是非、d47各店でスタッフへお尋ね下さい。