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04/d47 MUSEUM

d47 MUSEUM FORUM「地域とデザイン」を終えて

開催期間も5月24日(日)までと、残り僅かとなった「NIPPONの47人 2015 GRAPHIC DESIGN」展。
この展覧会の関連イベントとして、参加デザイナーとナガオカが対談する、d47 MUSEUM FORUM「地域とデザイン」が2部構成で開催されました。

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第一部のゲストは大阪の原田祐馬さん。第二部のゲストは富山の宮田裕美詠さん。
まずはそれぞれが、どうやって「デザイナー」になってきたかのお話しから。

デザイナーを目指すきっかけとなった作品などをご紹介。

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宮田さんの小さい頃のお写真も。

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宮田さんがデザイナーになるきっかけとなったポスターの写真。
富山はポスタートリエンナーレも開催されていて、身近な存在だったのかもしれません。

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続いて、手掛けられたデザインのおはなし。

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原田さんは、お菓子のパッケージをする時に、まずはお菓子自体のサイズや材料を変えられないか相談することからはじめて、メーカーさんに「そろそろパッケージを、、、」と言われるほどだったそう。
そんなお話しを聞いていると、どんな商品を目指すかをきちんと見つけていくには、中身とパッケージを分けて考えないのが当たり前なんだなぁ、と実感します。

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小豆島でのお仕事のお話しでは、まず、デザイナーであることは言わずに、島をまわったり、作業したり、、、そうすると、住民と徐々に仲良くなっていって、一緒にお酒を飲んで、「んで、君は何やってるの?」と聞かれた時に「デザイナーです。」と答える。そうすると「え?仕事してたの?!  じゃあ、デザイナーならコレできるでしょ?」と自発的なアイディアを相談されることもあるそう。

 

聞き手のナガオカも「昔は『私はデザイナーです』と保護膜をつくるのが当たり前だったのが、原田さんにはそれが一切ない。その受け入れてしまえることが原田さんの魅力。今まで謎だった原田さんのことがわかってきた!」と満足そう。

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原田さんの「最近わかってきたんですけど、僕にくる仕事はなんだか “ぼやっ” としたものが多いんです。だからまずデザインしてください!と言うよりかは、どうしたらいいでしょう?という感じ。でも、それはすごく楽しいこと。」「デザインって特別なものじゃだめなんです。」という言葉に、会場の参加者の皆さんもうなずく様子が印象的でした。

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大阪とデザインに関係では、「大阪も都会だけど、東京とはやっぱり違います。仕事にどれくらい関われるかの違いも大きいです。」「例えば仕事を一つの三角形だと考えると、都心なら三角形の「頂上」しかやらせてもらえないようなことも、大阪での方が、その三角形「全体」をやらせてもらえることが多い。」というお話しも。
デザインはやっぱりそれぞれの土地ならではのかたちがあって、成長しているんだなぁと実感。
 



宮田さんは、事務所の様子を公開。「この会議室の椅子ゆれますよね、、、なんで?」というナガオカの質問に、宮田さんは、「揺れているとだんだん気持ちも良くなって来て、このデザインで良いですか?と聞くと『はい。』ってなるんです。」

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一見、ふざけて言っているような一言ですが、「だって自分が良いと思うデザインじゃなきゃやりたくないじゃないですか。だから絶対に『いい』と言ってもらえるようにしたいんです!」という言葉に、一見フワフワと優しい宮田さんのイメージとは違う一面が。

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自身がつくりあげるものに対して「これが美しい」とはっきり言えるとろまでシュミレーションを繰り返す宮田さん。
「宮田さんはこんな感じだけど、『観察』と『シュミレーション』の人。観察眼がするどくて、とにかくひたすらシュミレーションするから、こんなに芯の太いデザインが生まれるんですね。」とナガオカも納得。
 

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実際にデザインのお話しでは「これ商品名入っていないよね?」「この企業案内書にも会社のロゴマーク入っていないよね?」と普通だったら入れないといけないかなぁ、、、と考えがちなところを、「え?なんで入れないといけないんですか?入れなくても伝わるし、入れない方が美しい!」と宮田さんはスッパリ。どんどん削ぎ落していきながら、「美しいかたち」を探していく姿勢は、質問時間でも「どうしたらそういう風に考えられるのか?」「アイディアはどこからくるんですか?」と参加者の皆さんも興味津々でした。

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富山とデザインの関係についても「富山ADC」や富山の印刷所「山田写真製版所」などを通してトーク。

「でも場所は関係ないですよ。どこの場所でも同じことをしていると思います。」という一言は、目の前のデザインに対して誠実に取り組んでいるからこそだなぁ、と実感しました。
 

お二人のお話しは、「自分たちのデザインが地域にとってどんな存在か」というよりかは、「目の前の人にどう提案していくか。」だったと思います。きちんと相手を見て生まれたデザインは、結局は地域のデザイン力を底上げしていくことを教えてもらいました。


展覧会の会期も残り僅か。是非会場で実際に47人のデザインを見に来てください。

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d47 MUSEUM 黒江美穂







【次回勉強会のお知らせ】

原田さんや宮田さんを始め多くのデザイナーを支える、国内屈指の印刷所「山田写真製版所」による勉強会
d SCHOOL「わかりやすい印刷」を開催

話し手 佐野研二郎(MR_DESIGN アートディレクター)熊倉桂三(山田写真製版所 プリンティングディレクター)
進行 ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT ディレクター)

6月19日(金) 19:00-21:00 参加費無料 渋谷ヒカリエ8/COURT
※フォーラムにお知らせした参加費から無料へ変更になりました。

デザイナーにとってプリンティングディレクターとは。「デザイン」と「印刷」と「紙」の密接な関係をトーク。
詳細はこちらをご覧下さい。事前予約制となりますので、お申し込みはお早めに。