会 期 | 2024年8月25日(日) |
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時 間 | 09:00〜11:00|ワークショプ、13:00〜20:30|トーク |
場 所 | ワークショップはd47食堂、トークは8/COURT(いずれも渋谷ヒカリエ 8F) |
事前申込 | 要 ●お申込み方法:Web/d47 MUSEUM店頭・お電話 ●お問い合わせ:03-6427-2301(d47 MUSEUM) ※お客様都合によるお申し込み後のキャンセルおよび返金はお受けしておりませんので、予めご了承ください。 ※各イベントの詳細は、各開催情報ページにてご案内しております。 |
発酵でつながる、自然と文化
自然界は人間がこの世に登場するよりもはるか昔から、微生物や菌による分解結合を繰り返しながら土壌を生みだし、生命を育んできました。「発酵」はその立役者と言えます。そして、もはや「発酵」は日本の食文化にとって欠かせない存在であることは言うまでもないかもしれません。自然と文化をつなぐ「発酵」をキーワードに、土壌、納豆菌、麹、酒などの視点から語られるトークやワークショップを通じて、世界を見てみましょう。
【ワークショップ】では、麹文化研究家のなかじ(南智征)さんから、ポケットに入れて体温で温めて麹菌を育てる「ポケット麹」づくりを通じて、暮らしの中の「発酵」の魅力を教えていただきます。【TALK1】では、土を通して農業や生態系のしくみを研究している土の研究者・藤井一至さんをゲストにお招きし、土の世界の面白さ、日本各地の土と食の関係について聞いていきます。【TALK2】では、稲藁(わら)に棲む天然の納豆菌で醸す「谷町納豆」をつくる、らくだ坂納豆工房の伊戸川浩一さん、発酵の幅広い経験と知識をもつ、ハッピー太郎醸造所の池島幸太郎さんをゲストに、天然の菌による発酵と納豆にまつわるトークを展開します。そして一日の最後を締めくくる【TALK3】では、滋賀県でどぶろく・クラフトサケを醸造するハッピー太郎醸造所の池島幸太郎さん、元蔵人で麹文化研究家のなかじ(南智征)さんをお招きして、日本の発酵食品に欠かせない「糀・麹(こうじ)」とお酒について、飲みながら語り合います。
一日丸ごと、「発酵」について学ぶDAY3。どうぞお楽しみに!
d47 MUSEUM「NIPPON UMAMI TOURISM」関連企画
d47 MUSEUM 第34回展覧会「NIPPON UMAMI TOURISM」は「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その保存会や農家などのつくり手、老舗の飲食店まで、食文化を伝える活動を合わせてご紹介することで、日本各地の食の風景を感じていただく展覧会です。そんな展覧会をさらに深く、さまざまな視点で紐解くイベントを開催いたします。
NIPPON UMAMI TOURISM TALKイベント一覧
○DAY1 6/15(土)|終了「風土を伝えるメディアの役割とこれから」
○DAY2 7/5(金)|終了「海藻食文化日本」
○DAY3 8/25(日)「発酵でつながる、自然と文化」
○DAY4 9/8(日)「郷土料理を道具から考える」
DAY3プログラム
【ワークショップ】親子で麹づくりワークショップ「ポケット麹をつくってみよう」 〜全2回連続講座〜
第1回:8/23(金)9:00~11:00 第2回:8/25(日)9:00~11:00
ポケットに入れて体温で温めて麹菌を育てるワークショップ。日本の文化である「発酵」の文化を次世代につなぎたいと、麹づくりと発酵文化を伝える活動を行う、麹文化研究家のなかじ(南智征)さんから「ポケット麹」を通して、暮らしの中の「発酵」の魅力を教えていただきます。生活の一部としての麹づくり体験を通じて、「発酵」の奥深い魅力に触れ、その世界に飛び込んでみましょう。(※写真はイメージです)
場 所:d47食堂(渋谷ヒカリエ8F)
講師|なかじ/南 智征(麹文化研究家・株式会社麹の学校代表)
※親子対象のワークショップとなります。お子さまと保護者さまご一緒にご参加ください。
※全2回連続講座のため、両日ともにご参加可能な場合のみお申し込みください。
詳細・お申し込みはこちらから
【TALK 1】微生物がつくる土の世界と、そこから見る食文化との接点
2024/8/25(日)13:00~15:00
土は水と並ぶ命の源であり、毎日の食卓を支える食べ物の95%が土に由来すると言います。土を通して農業や生態系のしくみを研究している藤井一至さんの視点から、土の世界の面白さ、日本各地の土と食の関係について聞いていきます。土は何からできるのか、いい土とはどんな土なのか、そんな疑問を紐解きながら、私たちの身近に当たり前のようにありながら、実はよく知らない「土」について学び、私たちをとりまく環境や社会を見つめてみましょう。
場 所:8/COURT(渋谷ヒカリエ8F)
ゲスト|藤井一至(土の研究者・森林総合研究所 主任研究員)
聞き手|相馬夕輝(D&DEPARTMENT / d47食堂 つづくをたべるディレクター)
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【TALK 2】稲藁に棲みつく納豆菌からみる世界
2024/8/25(日)16:00~17:30
稲藁(わら)に棲む天然の納豆菌で醸す「谷町納豆」をつくる、らくだ坂納豆工房の伊戸川浩一さんをゲストに、天然の菌による発酵と納豆にまつわるトークイベントを開催します。伊戸川さんのお話を、自らも糀屋であり、発酵の幅広い経験と知識をもとに「話せる発酵屋」として活動する、ハッピー太郎醸造所の池島幸太郎さんが深掘りします。納豆の起源や、培養菌と天然菌の違い、実は日本以外にもある世界の納豆(東南アジア、アフリカにも!?)の話など、実際に食べ比べもしながら聞いていきます。伊戸川さんと、池島さんと一緒に、土地と農作物と人を繋ぐ「発酵」の世界を探求してみましょう。
場 所:8/COURT(渋谷ヒカリエ8F)
ゲスト|伊戸川 浩一(らくだ坂納豆工房 代表)、池島 幸太郎(醸造家・ハッピー太郎醸造所)
聞き手|相馬夕輝(D&DEPARTMENT / d47食堂 つづくをたべるディレクター)
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【TALK 3】こうじとうまみとクラフトサケと
2024/8/25(日)18:30~20:30
日本の発酵醸造文化において、「糀・麹(こうじ)」が各地に根づいたことは、日本の食文化に大きな変革をもたらしました。酒、醤油、味噌、酢、味醂など、発酵調味料の存在は和食には欠かせず、そこには「こうじ」の働きが欠かせません。滋賀県で、味噌用のこうじを敢えて活用して、食べるように飲むような「どぶろく・クラフトサケ」を醸造するハッピー太郎醸造所の池島幸太郎さん、酒づくりの経験を活かして、各地で「麹の学校」を主催する、なかじ(南智征)さんと一緒に、ハッピー太郎(池島幸太郎)さんの醸したどぶろくを飲み比べながら、「こうじ」の話を学びましょう。
場 所:8/COURT(渋谷ヒカリエ8F)
ゲスト|池島 幸太郎(醸造家・ハッピー太郎醸造所)、なかじ/南 智征(麹文化研究家・株式会社麹の学校代表)
聞き手|相馬夕輝(D&DEPARTMENT / d47食堂 つづくをたべるディレクター)
※お酒を飲むイベントです。飲酒運転・未成年飲酒は法律で禁止されています。未成年の方、お車・バイク・自転車でお越しの方は参加できません。また、身分証などで年齢確認をさせていただくことがございますのでご了承ください。妊娠中、授乳中の方は酒類のご提供はできません。
詳細・お申し込みはこちらから
登壇者プロフィール
なかじ/南 智征(みなみ・ともゆき)
麹文化研究家・株式会社麹の学校代表。麹文化研究者・元蔵人。1979年大分県生まれ。京都芸術短期大学陶芸科卒。バックパッカーとして海外を放浪後、料理家中島デコに師事し、料理と農業を学ぶ。その後、千葉県自然酒造り酒屋寺田本家にて8年間勤務・蔵人頭として酒造りに関わり伝統的醸造技術・麹技術を研鑽し、独立。2016年から「麹の学校」活動開始。2018年にヨーロッパ8カ国10都市、2019年に北米6都市KOJIツアー。2020年、日本初・日英併記の麹作りの本「麹本~koji for life~」出版(農文協)。麹作りと発酵文化を伝える活動を行う。
HP 麹の学校
藤井 一至(ふじい・かずみち)
1981年、富山県出身。2009年、京都大学大学院博士課程修了後、京都大学研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、現在は国立研究開発法人「森林研究・整備機構森林総合研究所」の主任研究員として、インドネシアの熱帯雨林からカナダ極北の永久凍土までスコップ片手に世界各地を飛び回り、土の成り立ちや、土を通しての農業や生態系のしくみ、持続的な土の利用方法を研究。第1回日本生態学会奨励賞、日本土壌肥料学会奨励賞、日本農学進歩賞、著書『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土を求めて』が第7回河合隼雄学芸賞、第27回日本生態学会宮地賞など受賞多数。
HP 藤井一至のホームページ
池島 幸太郎(いけじま・こうたろう)
話せる発酵屋であり醸造家。3蔵12年の蔵人修行ののち2017年糀屋・鮒寿司屋として起業。製造販売の傍ら滋賀の発酵や生産者の代替不可能な価値について発信する。2021年滋賀県長浜市・商業文化施設「湖のスコーレ」にテナント入居し、味噌製造許可及び「その他の醸造酒」醸造免許取得。顔の見える生産者と連携し、副原料入りどぶろく「something happy」シリーズを事業の軸に据え、「発酵文化を更新し、現代の食卓に驚きと楽しさを提供し、ハッピーな食環境を未来へつなぐ」をミッションとして掲げる。
HP ハッピー太郎醸造所
伊戸川 浩一(いとがわ・こういち)
らくだ坂納豆工房代表。大阪・谷町で十数年、日本酒専門の居酒屋を営み、お店で提供する納豆を自家製で作り続けていました。「ぜひ、納豆を譲って欲しい」との多くのお客様の声を後押しに、コロナ禍をきっかけに正式に製造販売を始め、今年でまだ3年目の小さな「街の納豆屋」です。培養した納豆菌は使用せず、稲藁に住む天然の納豆菌だけで発酵させ、500g入りの大容量パックで販売する、というあまり例のない納豆を作っていますが、大地と農作物と人間をグルっと結びつけるという、「発酵文化」の本質を納豆製造を通じて、少しだけ表現しているのではないかと考えています。
HP らくだ坂納豆工房
相馬夕輝(NIPPON UMAMI TOURISM展キュレーター/D&DEPARTMENT・d47食堂 つづくをたべるディレクター)
1980年生まれ。D&DEPARTMENT OSAKA店長、ストア事業部門ディレクターを経て、飲食部門「つづくをたべる部」ディレクター。全国を取材し、その土地の食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画などを手がける。2016年より「渋谷のラジオ」内番組〈SHIBUYA d&RADIO〉パーソナリティー。
イベント企画趣旨
もはや「発酵」は日本の食文化にとって欠かせない存在であることは言うまでもないかもしれません。発酵のメカニズムや発酵食品の味に焦点を当てることに限らず、その背景となる自然環境や歴史、おいしさを求めた飽くなき探究心、食べ方や道具、未来に向けて長く続いていくことを願った風習、さらには発酵を実際に行ってくれる菌や微生物から見る世界の捉え方など、発酵は、この世界を多層で多角的に捉えて楽しめる切り口になっていると思います。
農業において、有機栽培や自然栽培のように、主に「栽培」と言う言葉が使われます。それは、人間にとって食べやすくするための品種改良、必要な量を確保するための育てやすさなど、自然の摂理を生かしつつも、人間にとってのある種の都合を取り入れた産業的な営みを表します。人間の目線だけで効率性を求めると、当然、自然とのバランスは崩れていく。栽培は、自然と人があいまって生まれる中間地点にあるように思います。
農作物は、土や水や、微生物たちがいてこそ、作物を得ることができる。人はそこに土壌を整える、水の流れをつくるなど、環境づくりをすることに止まると言えます。それは発酵も同じことと言えます。発酵を考えることは、発酵を進めてくれる微生物や菌の働きを見守ることであり、彼らの周辺の環境づくりを人間がすることだと言えます。発酵を活かした食品づくりと、農業における栽培は、その人間の関わり方においてほとんど同義だと言えると思います。
この地球に生き物がいることは、海、鉱物、土壌、菌、微生物、植物、動物など、それぞれが役割を持ってつながり、そして、それぞれが誰かの栄養となり、命のバトンタッチをしていきます。そこに人が加わり、栽培行為が加わると、じわりとその上に食文化が育まれていくように思うのです。
このTALK DAY3では、菌や微生物や土といった、人間がこの地球で生きる上で欠かせない共生者(微生物や菌など)の視点を学ぶことから、食文化の大いなる背景に迫ってみようと企画しました。こうじ、納豆菌、土や微生物、人間の登場よりはるか昔からこの世に現れた大先輩の力を借りて、いつもとは違う角度から、日本のうまみ文化を見直してみましょう。
「NIPPON UMAMI TOURISM」 キュレーター 相馬夕輝(D&DEPARTMENT / d47食堂 つづくをたべるディレクター)
d47 MUSEUM 第34回展覧会|LONG LIFE DESIGN 3
NIPPON UMAMI TOURISM 植生と文化をまるごと味わう 風土に還るうまみのデザイン
「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その文化を伝える活動から、食のロングライフデザインを考える展覧会です。→ NIPPON UMAMI TOURISM展 webページ