会 期 | 2025年1月28日(火) - 2025年3月13日(木) |
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時 間 | 12:00~20:00 |
場 所 | d47 MUSEUM内(渋谷ヒカリエ8F/03-6427-2301) |
事前申込 | 不要 |
富山、山梨、岐阜、鳥取の4つの産地で生まれる、和紙でできた日常使いの道具
現在、身の回りで使われている洋紙の多くは木材パルプを材料につくらており、寿命は約100年。対して、楮・三椏・雁皮などの樹皮を原料とし、繊維質を保ったまま仕上げる日本古来の和紙の寿命は1,000年といわれています。今回は、そうした和紙の魅力を現代に伝える、4社の製品をご紹介します。
民藝の思想を写した鮮やかな色と図案が特徴的な富山「桂樹舎」、和紙漉きの風合いと丈夫さを兼ね備えた山梨・大直の「SIWA」、伝統技術を生かし提灯の可能性を広げる岐阜「浅野商店」、世界初の技術"立体漉き和紙"を考案した鳥取「谷口・青谷和紙」。産地に根付く文化やものづくりの歴史、技術の進化を感じることができる4社のものづくりから、和紙の魅力に改めて目を向け、日常の道具として取り入れる機会となれば幸いです。
富山|桂樹舎
室町時代から続く八尾和紙は、古くから雪解け水を使って和紙を漉く技法が特徴。創設者・吉田圭介氏は和紙の良さをもっと伝えたいと試行錯誤するなか、柳宗悦と出会い、昭和初期に型染めの人間国宝・芹沢銈介が水洗いにも耐える和紙を求めて桂樹舎の和紙を使った。和紙に型染めを施す独特の技法は、紙を漉き、染め、加工する全ての工程を一貫して自社の工房で行っている。
山梨|株式会社 大直「SIWA|紙和」
市川三郷町は平安時代から続く手漉き和紙の産地。市川の紙は「肌吉」と呼ばれ美人の素肌のように美しいのが特徴。「SIWA|紙和」は工業デザイナーの深澤直人との共同開発によって生まれた、紙の可能性を広げるブランド。和紙漉きの製法で作られる「ナオロン」は肌触りが良く、軽くてしなやかな紙質ながらも水に強く、破れにくい。
岐阜|浅野商店
岐阜県の城下町で伝統ある岐阜提灯をつくり続ける。透きとおるような薄い和紙や絹布に繊細な秋草や山水の絵柄をあしらった岐阜提灯の伝統的なものづくりを守りながらも、インテリアデザイナー内田繁と月のように柔らかい光を灯す「paper moon」などの開発にも積極的に取り組む。美濃の手漉き和紙などほとんどの素材や部品を岐阜県で一貫して生産し、地元産業の安定と新たな人材の育成、伝統技術と技法の伝承にも力を入れる。
鳥取|谷口・青谷和紙
かつて因幡と呼ばれた鳥取県東部の青谷は奈良時代から続く因州和紙の産地。和紙は平面状のものという常識的な感覚を覆す「立体漉き和紙」を生み出した。立体漉き和紙は3次元で漉き上げる革新的な技術であり、長年の研究の末創り上げた、世界で初めての技術。継ぎ目なく均一に漉かれ自由曲線を持つことが特徴。自然なテクスチャーと積層した楮の繊維を透過する明かりは柔らかく温かで、空間に和みと寛ぎをもたらす。