富山県の食、歴史、文化のが書かれた「美味しんぼ」の富山編を読み、いざ富山へ。
その中でも気になった「ホンコサマ(報恩講)」を実際に五箇山で頂く事が出来ました。
ホンコサマは、おもてなし精進料理。
全部を再現するという事は出来ませんでしたが、今回は五箇山豆腐を定食に入れました。
「お平」と呼ばれる五箇山では欠かせない五箇山豆腐の下には、ごぼう・里芋などの煮しめ。
大きな豆腐がふた代わりになっているのも流儀で、見た目のインパクトが印象的でした。
ご飯の盛りが少ないのは、おかわりをいっぱいしてくださいという意味が込められています。
地元の人達が「ご飯が何杯でもおかわりいけるよ。」という、
旬な野菜を炒めて味噌でよごすことから「よごし」と呼ばれる家庭郷土料理。こちらは小鉢に。
昆布料理が豊富なため生まれた、「高岡昆布飯」。黒とろろ、白とろろのおむすび。
今回いつも大変お世話になっているこんぶ土居さんにご協力頂き、
なんと特別に、手削りで作って頂きました。
とても繊細で、美味しいんです。土居さん、本当にいつも、ありがとうございます。
その、高岡昆布飯を早朝に食べて元気をもらい(これがなければ船酔いしていたかも。)
同行させて頂いた白海老漁。
ずっと厳しい表情で、海底200m~300mの群れを探り、獲れた時には、本当に良い表情に変わる。
僕は何もしていなかったのですが、大漁だった事も重なり、一緒になって喜びました。
とても綺麗で、まさに富山湾の宝石です。
この白海老を地元でも良くたべられる白海老のかき揚げに。
お味噌汁には、秋が旬のフクラギ(福来魚)をあら汁にしました。
富山湾でしか漁が行われていない白海老と、成長とともに呼び名が変わる鰤(ブリ)。
北前船文化により北海道から昆布が伝わり、今でも昆布消費量が1位といわれる文化から生まれた昆布料理。
合掌作りの話、お嫁さんが嫁ぐ話。
親族が意思を決する時や大事な時期に作られたと伝えられる、歴史を感じられるホンコサマ。
旬の野菜のヘタなど、無駄にする事なくご飯のお供になり、
各家庭にそれぞれの味があり、時代背景と生活の知恵が感じられる「よごし」料理。
それらを合わせる事が出来、富山の食文化を感じていただける、そんなおもしろい定食が出来上がったと思います。
富山の食文化を味わっていただく事が出来ればと思います。
(料理長 橋本圭介)