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06/d47 SHOKUDO

「d school わかりやすい鰹節」レポート

5月19日、東京は晴海、鰹節問屋「㈲タイコウ」の稲葉 泰三氏をお招きし、

d47食堂にて開催しました、

『d school わかりやすい鰹節』のレポートです。

 

5月19日、オープン前のd47食堂で、東京は晴海、鰹節問屋「㈲タイコウ」の稲葉 泰三氏をお招きし、

『d school わかりやすい鰹節』を開催しました。

 

出汁をとることを、ハードルの高いものだと思っている方は
少なくないのではないでしょうか。

わたし自身、食堂の出汁を味わうまでは、出汁というものがどんなものか、
知らないまま過ごしていたひとりでした。

 

 

実家で使っていたのは、スーパーなどでよく見かける即席出汁。

食堂で昆布と鰹節で1からとる出汁の味を知ってからも、

「鰹節から出汁をとるのって難しそうだし、すごく手間がかかりそうだなあ」と、

なかなか自分で出汁をとることに踏み出せませんでした。

 

 

そんな出汁をとることを身近にしてくれたのは、稲葉さんの出汁とり教室でした。

 

 

稲葉さんを知る人とお話をすると、「江戸っ子」という言葉をよく聞きます。

まっすぐ一本芯があって、ごまかしがない。お話していて、すごく気持ちのいい方なのです。

私が鰹節に興味を持ったのも、間違いなく!稲葉さんの人柄が関係しています。

 

 

稲葉さんはとにかく生産者さんへの愛情がたっぷり!

どんな理由があっても材料を値切ることはしません。

 

安く提供したいがために値切ると、生産者は、限られたコストの中で製造をするために、
粗悪品を造らざるを得なくなります。
値切る、ということは、悪循環でしかないのです。

 

生産者さんのために買い続け、お客様のために提供しつづける。
「自分が買いたい、と思うものしか売らない」とおっしゃる稲葉さんの真っすぐな志には心を打たれました。

 

今回は、そんな稲葉さんを講師にお招きしての出汁とり教室!

 

お味噌汁のみならず、煮物やおひたし、揚げ出し豆腐のあんかけまで、食堂の味にはかかせないお出汁。

タイコウさんの鰹節は、オープン以来、食堂のお出汁をとるのにたっぷり使わせていただいています。

 

まず始めに、稲葉さんにご用意いただいた資料をもとに、鰹節のお話を伺います。

 

 

 

ここでは、鹿児島県枕崎で鰹節の生産を行っている、宮下 誠さんのことを、愛情たっぷりに語る稲葉さん。

宮下さんは、今は少数派となってしまった、伝統の一本釣りの鰹節の生産者です。

伝統技術で造られる鰹節の割合は、全生産量の約2%になっているそう。

「商売だけでは人と付き合わない」という言葉に、家族のような、生産者さんとの関係が浮かびます。

 

 

 

皆さん真剣にお話を聞いています。

 

出汁とり座学1.JPG

 

スタッフも真剣!キッチンスタッフも参加し、お客様と一緒に勉強しました。

 

出汁とりスタッフ.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稲葉さんのお話のあとは、実際に鰹節を削ってみます!

 

 

こちらが、削る前の鰹節。

 

 

これが、元は魚の形をしていたということにびっくり!

この鰹節自体がずっと嗅いでいたくなる、いい香りです。

 

出汁とり節画像.JPG

 

出汁とり削り泰三さん.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほとんどの方が、鰹節を削るのは初めて。

 

最初は遠慮がちでなかなか手が進まなかった皆さんでしたが、

 

「人間国宝だって、最初は素人なんだ」

 

という稲葉さんの言葉に背中を押され、積極的に削り始めました。

 

楽しんで削る姿がとっても印象的でした!

 

 

 

なかなか上手に削れず、粉になってしまったりするのですが、

リズムがつかめてくると、手を止めたくない気持ちでいっぱいになるんです!

 

 

①血合い込み、②血合いなし、③粉のみ、④ ①〜③を合わせたもの、⑤血合いのみ

と、削り分けることで、1本の節から、そばつゆに合う出汁、白身魚に合わせると美味しい出汁
など、5種類の出汁がとれるそうです。

 

 

 

削りたての鰹節は、香りも味わいも抜群!

1リットルのお出汁を作るのに、削りたての鰹節なら、

すでに削られて販売されている鰹節の約2分の1の使用量、約7〜10gでいいのだそう。

削るのに熱中し、今回自分たちが使う量の倍以上の削り節ができていました(笑)!

 

 

 

鰹節を削ったあとは、自分たちで削った鰹節から、お出汁をとります。

 

出汁とり実践鍋.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は、一晩水出しした昆布との合わせ出汁です。

昆布は、こちらもオープン以来、タイコウさんの鰹節と合わせてお出汁に使っている、

大阪の「こんぶ土居」さんのもの。

 

 

 

 

鰹節のお出汁のとり方について、本やインターネットなどでは、
「しぼっては駄目」「かきまわしては駄目」など言われていますが、よい材料さえ使っていれば、そんなことは気にしなくて大丈夫。

 

 

 

いい鰹節からとるお出汁は、最後に残った削り節を、ぎゅー!っと絞った部分が一番おいしいって知っていましたか?

調味料を足すなんてもったいないくらい、鰹節の旨みがぎゅっと詰まっていることに感動しました!

 

 

 

 

 

いい材料を選び、「昆布は水から、鰹節はお湯から」の出汁とりを基本とすれば、

どんな風にお出汁をとってもかまわない!と稲葉さん。

 

「情報にとらわれ過ぎず、自分の舌を大切にしてほしい」と仰っていたのが、印象深かったです。

 

出汁とり実践泰三さん.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勉強会の最後は、皆さんで、お出汁をたくさん使った食堂の定食をお召し上がりいただきました。

 

 

この日は水曜日。毎週水曜は、スタッフも楽しみにしている、混ぜご飯の日です!

 

皆さんには、鰹節と昆布の「出汁がら」を使った混ぜご飯を、お召し上がりいただきました。

 

出汁とり混ぜご飯.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイコウさんの「出汁がら」を使うと、とってもおいしい混ぜご飯ができるんです!

(今回も、出汁は使わず出汁がらのみで炊いています!)

 

 

 

 

今回、実際に削り器を使ってみて、削り器が欲しい!と言う方も多くいらっしゃいましたが、

「まずは、日常的に出汁をとる生活を安定させて、そうしてから初めて、削り器を買ってもいいかな、と思えばいい」と、稲葉さん。

決して無理がない、出汁をとる生活が長く続くことを考えていらっしゃるのだなと感じました。

 

 

 

最後に皆さんにご協力いただいたアンケートには、

 

「鰹節だけではなく、食全体として改めて考えさせられる、いい機会になった」

というお声がたくさんありました。

鰹節だけではなく、食について改めて考えさせられる、充実した時間となりました。

 

 

 

ご参加いただいた皆さん、稲葉さん、ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました!

 

 

今回のd schoolは、食堂で行う朝の勉強会の、第1回目。

これからも、一緒に学べる勉強会を開催していきますので、お楽しみに!