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06/d47 SHOKUDO

大阪「こんぶ土居」を訪ねて

「昆布は、大阪の誇る一大文化。」

 

「こんぶ土居 」4代目である、土居 純一さんはおっしゃいます。

長く地元に愛される昆布屋に聞いた、昆布のお話のレポートです。

9月上旬、大阪は「こんぶ土居」さんに行ってきました。

 

食堂の出汁は、以前d schoolで来て頂いた「タイコウ」さんの鰹節(http://www.hikarie8.com/d47shokudo/blog/2014/07/-519d47-d-school-d-school01.shtml)と

、今回お伺いした「こんぶ土居」さんの昆布からとる、合わせ出汁。

お味噌汁や、おひたしなど、オープン以来かかせない食堂の味のひとつです。

 

今回、まず伝える立場である私たちがもっと昆布のことを知りたい、という

気持ちにお応えいただき、「こんぶ土居」の4代目、土居 純一さんからお話を伺うことができました。

 

 

 

純一さんとお話していて思うことは、「いつも消費者のことを考えている方だなぁ」ということ。

常に、私たちの意見を聞きながら、お話してくださる姿勢が、「こんぶ土居」を作ってきたのだと感じます。

 

 

例えば、「ちょっとでいいときの出汁とりが面倒」という声には「十倍だし」という

すでに出汁になっている商品を開発したりと、お客様の声や土居さんご家族の

「これを味わってほしい」という気持ちでいっぱいの商品が「こんぶ土居」に並んでいます。

 

 

そんな「こんぶ土居」昆布のお話から出汁の取り方までお伺いした2時間の様子をお伝えします!

 

 

 

 

 

「こんぶ土居」は、大阪 空堀商店街の中にあります。小さな子供もお使いに来る、地元に愛されたお店です。

 

 

 

空堀商店街.JPG

 

 

 

ここはとても活気のある商店街で、以前は、この空堀商店街だけでも、数件の昆布屋があったそうですが、

現在は「こんぶ土居」だけになってしまったのだそう。

 

 

 

土居外観.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大阪の昆布屋が世界のど真ん中だと言えることが、ありがたいと思う」と純一さんは言います。

 

 

「外国の文化を日本に取り入れて発展させる人も多くいますが、どれだけ優秀になったとしても、

あくまでも本場は外国。

すごいことを成し遂げられている人を見ている中で、昆布の本場はほぼ日本だけ。

本場が国内にある僕らは、恵まれているなと思う」

 

 

 

「昆布は、大阪の誇る一大文化」

 

 

純一さんは、はっきりとそうおっしゃいました。

 

「それを、大阪の人たちにもできるだけ知ってほしいなぁ、と思うんです」と、続けます。

 

 

 

昆布の生産地は北海道が中心ですが、生産地である北海道では、ほとんど昆布を食べないそう。

加工や出汁の中心は、大阪。(ちなみに、昆布の消費量1位は、富山県!)

 

大阪や富山で昆布文化が発展した背景には、海上交通が盛んになった江戸時代に、「北前船」を使い、

下関から瀬戸内海を通る西廻り航路で昆布が運ばれた歴史があります。

 

 

 

しかし、そんな昆布。

「大阪検定」という、大阪の歴史や文化の奥深さを再発見し、魅力を知ってもらうことを目的とした検定には、

たこ焼きやお好み焼きはでてきても、昆布は「こ」の字も出てこないって知っていましたか?

 

そのお話を聞いたとき、参加スタッフからは、どよめきが。

 

「こんぶの土居」さんの商品を、常日頃取り扱っている私たちからすれば、お好み焼きやたこ焼きのように、

昆布も大阪のイメージとして強かったので、「こんなに魅力的なものが知られていないのは、もったいないなぁ」

と思ってしまいました。

 

 

 

最近では、海外から料理人が訪ねてきたりと、昆布に対する外からの注目もすごいのだそうですが、

その一方で、日本では昆布文化が衰退しています。

 

 

 

昆布の生産高は、昔は3万トンだったのに対し、昨年はその半分以下。このデータは、

出汁をとる習慣がなくなってきていることの表れです。

 

「みそ汁を作るのに、いちから出汁をとる人がどのくらいいるのか?」と純一さんは投げかけます。

 

確かに、今は出汁パックや粉末で出汁をとる方が多いかもしれません。

しかし、昆布の出汁とりは、とっても簡単!難しいことはひとつもないのです!

 

なんと、一晩水につけておくだけ!

分量は、水1リットルに対して、10g程度。

 

 

サイズで見ると、ほぼ手と同じ大きさ。決して多い量ではないことがわかります。

 

 

 

DSCN0566.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昆布は、他の素材や調味料と合わさったときに、役割を発揮する」

 

「合わさったときに、昆布があるかないかは、大違い!

出汁で言えば、昆布は鰹節の味を引き立てている部分があるので、理解されにくいですけど…」

と控えめな純一さん。

 

ぜひ一度、どれだけ味が変わるか、鰹節だけの出汁と飲み比べてみてください。

出汁のとり方は、大阪店スタッフのブログ(http://www.d-department.com/jp/shop/osaka/dining/blog/2014/09/post-3872.html)をご覧ください!

 

 

 

 

生産地との繋がりを大切にする「こんぶ土居」。

 

純一さんは、約9年前から毎年昆布漁の時期になると、北海道へ行き、漁を手伝われています。

きっかけは、「生産の現場を知りたい」と思ったことだったそうです。

 

さらに、生産地の学校で、昆布が採れることは知っていても、どんな風に食べれられているのか

わからない子供達に、食の魅力を伝える活動もされています。

 

 

 

今回、案内していただいた部屋の壁には、3代目 成吉さんの引退の記念に

贈られた、大漁旗が飾られていました。

 

「生産地の方に愛されていたのだなぁ」と感じました。

 

 

大漁旗.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(真ん中の方が、4代目 純一さん)

 

 

 

「おそらく漁師でもないのに大漁旗があるのは、日本でもうちだけだと思います」

と純一さんはおっしゃいます。

本来大漁旗は、船を新調した仲間に安全や豊漁を願って贈られるものなのだそうです。

 

「こんぶ土居」さんの、生産地と熱をもって関わる姿勢が伝わってきますね。

 

 

 

ちなみにこんぶ土居さんでは、毎月1回、「たぶん日本一の出しのとり方教室」を開催しています。

 

この文字を見るだけで、わくわくしますね!

 

 

 

 

 

実は今回、「こんぶ土居」さんの家庭の味や昆布の話が載っている、「土居家のレシピと昆布の話」という本が発売になりました。

 

そして、出版を記念したトークショーを、土居さんご一家をお招きし、渋谷ヒカリエで行わせていただくことになりました!

今回お話を伺った、土居さんご一家のお話を聞きたり、土居家の家庭の味が味わえたりする 時間です。

詳しくは、こちらをご確認くださいね。

http://www.hikarie8.com/d47shokudo/event/2014/09/post-41.shtml

 

 

 

ちなみにこちらのレシピ、私もいくつか作ってみましたが、簡単にできるものが多い!

西洋料理をアレンジして、昆布だしを使うレシピもおもしろいです。

食堂でも取り扱っていますので、お手にとってみてくださいね。

 

(d47食堂 永野 歩)