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06/d47 SHOKUDO

宮崎県、お茶の生産地を訪ねて

5月下旬、宮崎県宮崎市にある、お茶の白玄堂の白尾尚美さんを訪ねました。

 

生産農家さんにお会いして、「誰かの手によって作られているお茶」を、感じました。

5月下旬、宮崎県宮崎市にある、「お茶の白玄堂」の白尾尚美さんを訪ねました。

 

 

白玄堂.JPG

 

 

食堂では、「釜炒り茶 かなで」でおなじみの、白玄堂。

白尾さんは、2年前からd47 design travel storeで、毎年店頭に立って宮崎茶を伝えています。

 

 

白尾さん.jpg

 

 

店頭に立てば、お客様もスタッフも集まってしまう、その人柄に惹かれる人も多いはず。

お客様の中には、白尾さんのファンも多いのではないでしょうか。(ぜひ、語り合いたい!です。)

私も、その親しみやすさと雰囲気に呑まれてしまったひとりです。

 

昨年、白尾さんにお茶を教わってから、お茶の楽しさ、その魅力に引き込まれてしまいました。

「白玄堂さんに行きたい!」と言い続け、その度に、「おいでよ、勉強しようよ!」と快く

了承して下さっており、宮崎訪問が実現したのでした。

 

 

今回は、2つの生産農家さんにお伺いしてきました。

 

ふと改めて考えてみると、「お茶を知りたい!」と思ったときに、知識として本やセミナーで

勉強することはあっても、生産農家さんに会いに行くということへの、選択肢がなかったことに気がつきました。

 

スーパーに行けば、パッケージに野菜の生産農家さんの情報が表示してある時代ですが、

そういえばお茶の農家さんって、あまり表に出ていないイメージ。

今回、生産農家さんにお会いしてみて、知識よりも大切にしたいことを、改めて感じました。

 

 

宮崎県に広がる大自然は、お茶畑すら見たことがない私にとって、

ひたすら感動、感動の光景でした。

 

 

標高200m.JPG

 

 

標高200mで、この眺め。右側に広がるのが、茶畑です。

この辺りが生産地ということもあって、必ず視界に入る茶畑。

宮崎空港を出発して、1〜2時間車を走らせると、緑が気持ちのいい景色を見ることができます。

 

写真の辺りは海が近い茶畑ですが、海に近いと、「塩害」と言って塩の影響を受けるため、

茶葉の成長を妨げてしまうのですが、ここは岸壁が塩害を遮り、さらには山風が吹くことで、

香りのいいお茶ができるのだそうです。

 

 

宮崎市から、車で約2時間。臼杵郡五ヶ瀬町にある、「宮崎茶房」さんへ。

食堂でお出ししている「釜炒り茶 かなで」の生産地です。

 

 

かなで.jpg

 

 

阿蘇山が見える.JPG

 

 

標高700 〜800mにある茶畑は、阿蘇山が見える絶景です。

宮崎さんの元へは、スタッフの方以外に、県内外からたくさんの人が訪れるそうで、

この日は、千葉からウーロン茶用の茶葉を摘みに来ていた方もいらっしゃいました。

 

 

千葉からきた!.jpg

 

 

新茶の、一番忙しい時期は終わっていて、ほとんどの農家さんは工場が動いていないのですが、

標高が高く、気温が比較的低いこちらの宮崎茶房さんは、まだお茶のシーズンが続いており、

6月くらいまでは稼働するのだそうです。

 

ここで生まれてはじめて、お茶の葉っぱを食べました。

 

 

1番茶.JPG

 

 

食べてみると、う〜…、もっとあっさり食べられると思っていたのに、

なかなか渋い!その中にしっかり、お茶の味もします。

写真のつまんでいる一番上、新芽の部分が一番茶として使われます。

 

出来たての釜炒り茶は、ほんのり温かくて、その出来たて感が気持ちよく、

袋にずぼっと、両手を入れたくなりました。

 

 

あったかかった釜炒り茶.JPG

 

 

ところで、宮崎茶房さんは、どなたがスタッフの方で、どなたがお手伝いの外部の方なのか、

さっぱり分からなくて混乱してしまうほどの、たくさんの人でした。

「どのお茶農家さんも、いつもこんな風に人が集まるんですか?」と聞いたところ、

「そういうわけじゃないよ」との回答が。

 

代表の宮崎 亮(あきら)さんとお話して、納得。

朗らか、という言葉がぴったりな宮崎さんは、どんな人でも受け入れてしまう包容力抜群の、

お話していてとても楽しい方でした。

ちなみにこちらの宮崎茶房さんは、宿舎もあるそうで、来年は宿泊してみたいなぁ、と楽しみにしています。

 

 

そして翌日は、宮崎市高岡町の「提石製茶」さんへ。

ご夫婦で作られている提石さんの茶葉は、d47 design travel storeで販売している、

こちらの紅茶にも使われています。

 

 

紅茶.jpg

 

 

正男さんの工場からの景色.jpg

 

 

工場からの眺めです。思わず横になってしまいたくなる景色。

作業の合間にお昼寝されることもあるのだそう。うらやましい…

私も、横になってみたい衝動を抑えるのが大変でした。

 

提石さんご夫婦の雰囲気がとてもよく、家族でお仕事をされるって素敵だな、と感じました。

奥様が淹れてくださったお茶が、本当においしかったです。

(おかわりもごくごく飲んでしまい、写真がありません…)

 

白尾さんと提石さんの会話を聞いていると、一言、「取引先」という言葉ではくくれない、

友だちのようであり、親戚のようであり、同志のようである、そんな印象を受けました。

 

「(白尾さんが)忙しくなると、生産農家さんたちが喜ぶ」と、おっしゃる白尾さん。

育てて、作って、販売する。みんなで茶業界を、生活を、回していく様子が浮かびます。

 

 

今回、2つの生産農家さんにお伺いし、白尾さんとお話している様子を見て、

とても丁寧な関係性の上で成り立っているのだな、と感じました。

どんなにスタッフの方が多くても、ひとりひとりと密にコミュニケーションを

とっている白尾さんの姿に、普段の丁寧な仕事を見たような気持ちです。

 

「本当のことは、土にある。」

白尾さんがおっしゃった言葉が、実際に生産農家さんにお会いしたことで、

すとんと落ちる言葉になりました。

 

学びたい!と、知識ばかりを追いかけてしまいがちだった私ですが、

まずは人を知ることがおいしさへの一歩なのだな、と実感する旅になりました。

 

白尾さんをはじめ、宮崎さん、提石さん、

気持ちよく迎えて下さった皆さま、本当にありがとうございました!

(d47食堂 永野歩)