9月12、13日にd47食堂のスタッフみんなで研修合宿に行ってきました。
1日目はスタッフみんなで顔を合わせてミーティング。これからの食堂でやりたいこと、チャレンジしたいことについて話し合うことができました。2日目はいつもお野菜をとどけてくれるナチュラルハーモニーさんからご紹介いただいて、たむそん自然農園を訪ねました。神奈川県、愛川町のゆるやかな傾斜のある山の麓にその畑はありました。雨の中でしたが、園主の田村さんに農園を案内していただきました。
畑を見渡すと、黒いマルチシートが無いかわりに、枯れ草が敷かれ、雑草も生い茂っています。たむそん自然農園では自然環境に堪える、植物の力強さを大切に野菜づくりを行っているそうです。だから、必要がなければ雑草は抜かず、農薬やマルチシートの代わりに自然の力を少し借りて野菜を育てます。しかしそれも簡単なことではなく、自作した竹の支柱も、台風の影響で傾いてしまっていましたが、田村さんは次はどうしようかな、と少し楽しそうに考えているようでした。
田村さんが行っている農業は、自然農です。自然農とは土地を耕さない、除草しない、肥料を与えない、農薬を使用しない農法です。田村さんは自然農にこだわる、というよりも、自然が発したことに、正直に応えることを大切にしている方でした。支柱などで誘引しないとわかりますが、トマトは横に広がるように成長する野菜です。一般的なやり方では支柱に誘引し、わき芽をかくことで、トマトが無駄に茂るのを防ぎます。田村さんのやり方は、トマトの横に広がろうとする習性を生かしながら、より多く収穫するために、斜めに誘引しています。竹の支柱に支えられて、斜めに育つトマトをみるのは初めてで、とても目を楽しませてくれる光景でした。
田村さんの畑には他にもおもしろい野菜がたくさんあります。収穫時期が近かった落花生は実のなりかたが面白く、花の子房が枯れた後、地面に刺さり、地中に実がなると教えてくれました。畑にやってくる野生のハクビシンは、実の熟れ時を良く知っていて、田村さんがいざ収穫しようと思った次の日に、食べられていることがあるそうです。実が少ないまま確実に収穫するか、食べられた後の大きくなった実を収穫するかで悩まされます。
田村さんが野菜を作ろうと思ったきっかけは、一部の飲食店などで出される料理の材料が、食べる人に知らされている情報と違うものを出していることに疑問を持ったことでした。それならば、自分で作ってしまおうと思い農業を始めたそうです。「野菜を食べる人に対してもそうだけれど、自分に正直にありたい」と田村さんは言っていました。たむそん農園の面白さは、野菜に向き合い続けた結果、自然の多様性を表すかのように、畑に色々な面があり、かつ、人の手で無理に矯正していないような現実味にあると私は思いました。たむそん自然農園に実際に訪れ、作り手の方からお話を直接聞いて、自分が本当に面白いと感じた農園の野菜を扱わせてもらえることに、誇りを感じるというか、嬉しいというか…、とにかく、責任もってお出ししなければ!と、思いました。
10月からたむそん自然農園から頂く八つ頭がメニューに登場する予定です。少し食べさせていただきましたが、これが、ほんとうにおいしい。良い山菜を食べた時のように、人の手だけでは作り出せない味が、田村さんの野菜にはあります。どんな形でみなさんにこの八つ頭をお出しできるか私もまだわかりませんが、ぜひ、お楽しみに。
たむそん自然農園
http://tamuson.com
(d47食堂 齋藤)